札幌市教育委員会では、本校をモデル校とした「課題探究的な学習に係るモデル研究の推進」を教育振興基本計画のアクションプランに位置付けています。その一環として、本校が令和元年(2019年)8月5日月曜日に実施した「体験型探究活動指導法:思考の見える化を楽しむ」という、主にスーパーサイエンスハイスクール(SSH)指定校の教員を対象としたワークショップについて、札幌市教育委員会が課題探究的な学習普及事業に位置付け、札幌市立の各学校にも周知したところ、何人かの小中学校の教員の方にもご参加いただきました。私もこの研修会に参加しましたので、この場をお借りして紹介したいと思います。

 講師は、大阪教育大学の仲矢史雄教授で、本校のSSH事業では毎年お世話になっている方です。約90分間のワークショップでしたが、豊富な経験や具体的な事例をもとにしたお話は大変興味深いもので、あっという間に予定の時間が過ぎてしまいました。仲矢先生は多くの示唆に富んだお話をされましたが、そのうち、課題研究のスタンダードに関するお話が私の印象に残ったものの一つです。課題研究のスタンダードは20世紀の初め頃に世界的に確立されたそうですが、これよりも早い明治期にいわゆるお雇い外国人を積極的に受け入れていた日本の大学は、20世紀に入ると日本人教員による大学教育が進んでいたこともあって、課題研究のスタンダードがうまく伝わらなかったそうです。このことが日本の教育において課題研究を進める上で今でも影響を及ぼしているとのことでした。正確ではないかもしれませんが、おおよそこのようなお話をされたと私は理解しています。

 この話を聞いて私は、学びの「型」についての話題を思い出しました。今年度の第1回「校長カフェ」で私は、「学びには『型』がある」という話をし、その内容は「校長室の窓」でも紹介させていただきました。このとき私が念頭においていたのは、国際バカロレア(IB)の教育プログラムが重視しているATLスキルのことでしたが、課題研究のスタンダードも同じことを言っているのではないかと感じ、改めてその重要性を認識したところです。ただ、難しいと感じるのは、学びの「型」という言葉だけを聞くと、何かマニュアルのようなものがあってそれに従って入ればよいといった考えのように捉えられる懸念があることです。今回のワークショップは、決してそのような意味ではないことを改めて確認するよい機会ともなりました。

 ちなみに、仲矢先生はワークショップの中で何冊かの本を紹介されましたが、その一つに『学びの技 14歳からの探究・論文・プレゼンテーション』(玉川大学出版部、2014年)という本がありました。中高生向けに書かれた本ですが、課題研究の進め方が分かりやすく紹介されています。その巻末に「さらに研究を深めるための参考図書」というコーナーがあり、そこに『新版 論文の教室 レポートから卒論まで』(NHK出版、2012年)という本がありました。これは、私が本校の開校準備に携わったときに参考にさせていただき、とても感銘を受けた本です。本校の生徒も課題研究やレポート、論文に取り組む際には、こうした本を何冊か読んで、学びの「型」についても探究してほしいと願っています。

 
本日も、最後までお読みいただきありがとうございました。

令和元年(2019年)8月21日