札幌市教育委員会は、本校をモデル校として課題探究的な学習モデル研究事業を実施しています。その一環として、本校での国際バカロレア(IB)を活用した課題探究的な学習の具体的な手法を他の市立学校でも活用できるよう小冊子を作成し、「教室で使える」シリーズとして不定期に刊行しております。このたび第2弾となる『教室で使えるレポート作成』が発行され、先日、本校にも冊子が送られてきましたので、紹介します。

 「教室で使える」シリーズには、いくつかの編集方針があります。第一に、本校での課題探究的な学習において実際に生徒や教員が直面した「困り」の場面を「ありがちなケース」として取り上げていることです。第二に、IBの教育プログラムを活用して教員が適切に支援すること(冊子では「チェンジ!!」と表現)で、「困り」の状況を改善する方向へと導く(冊子では「グッドジョブ!!」と表現)構成としていることです。第三に、IBの教育プログラムになじみのない人たちでも手に取りやすいように、イラストを中心とした分かりやすい紙面としていることです。

 さて、「教室で使える」シリーズの第2弾となる『教室で使えるレポート作成』は、前回と同様の編集方針のもと、本校の生徒たちが課題探究的な学習を行う上で避けて通ることのできないレポート作成に焦点を当て、次の写真にあるとおり、8つのありがちなケースを取り上げ、教員の適切な支援により「困り」の状況を改善の方向へと導く様子が象徴的に描かれています。
 

 例えば、ケース2の「始めないさん まだまだ余裕2日で書ける」で具体的に説明します。まず、「根拠のない自信はどこから?」という小見出しにあるとおり、「まだまだ余裕2日で書けるさ」とのセリフとともにゲームに興じ、レポート作成を始めようとしない生徒が、締切前日の夜、イライラしながらまたしても徹夜をするはめになるという、ありがちな「困り」の場面が描かれます。それに続いて教員が、IBの教育プログラムにあるATLスキルと呼ばれるもののうち、主に自己管理に関するスキルを活用して、「好きなことから手をつけよう」「始めることがとっても大切」「まずは10分」などの具体的な支援を行う場面が描かれます。このことにより、「得意なことから手をつけてみると、スイッチが入り、頭の隅でいつでも考えられるようになり」(チェンジ!!)、締切前日の夜までにレポートが完成し、徹夜しないで済んだ(グッドジョブ!!)生徒の笑顔の場面が描かれます。

 このように、「教室で使える」シリーズは、本校のようなIBの教育プログラムを導入していない学校でも、課題探究的な学習(いわゆる「アクティブ・ラーニング」)を行う際に活用可能な冊子となることを目指して作成されています。

 本校でも、授業での活用はもちろんのこと、「校長カフェ」など保護者の皆様と学び合う機会などで積極的に活用していこうと思っています。

 ところで、第一弾となる『教室で使えるグループワーク』は平成29年(2017年)3月に発行され、課題探究的な学習において日常的に行われるグループワークを取り上げ、八つのケースに整理して示しています。この冊子は、文部科学省の委託事業として作成されましたので、札幌市教育委員会のホームページで全てのページをPDFファイルで閲覧することが可能なほか、文部科学省のホームページに掲載されている委託事業の成果報告書の28~37ページに、この冊子に関する解説記事も掲載されています。それぞれの掲載アドレスを紹介しますので、興味のある方はご覧ください。

▼『教室で使えるグループワーク』のPDFファイルのページはこちら(札幌市教育委員会のホームページより)
https://www.city.sapporo.jp/kyoiku/top/ibkadaitankyu.html
▼成果報告書のPDFファイルのページはこちら(文部科学省のホームページより)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/sankou/1395880.htm

 なお、『教室で使えるレポート作成』のPDFファイルは、現時点でまだホームページ上に掲載されていないようですが、掲載を確認しましたら、またお知らせしたいと思います。

 本日も、最後までお読みいただきありがとうございました。

令和元年(2019年)6月19日

(追記)

 『教室で使えるレポート作成』のPDFファイルが札幌市教育委員会のホームページに掲載されました。、

▼『教室で使えるレポート作成』のPDFファイルのページはこちら(札幌市教育委員会のホームページより)
https://www.city.sapporo.jp/kyoiku/top/ibkadaitankyu.html

令和元年(2019年)6月22日