㉔カスタム・ラーニング-自己選択学習-(国語科51期3年次)
2025年度の3年生(2,4,6組)を対象に、カスタム・ラーニング(自己選択学習)と題して、論理国語の授業を実施しました。
カスタム・ラーニング(自己選択学習).pdf [5266KB pdfファイル]
本授業は、自由進度学習の懸念点を乗り越える形で、自己調整学習の一環としてデザインしています。
生徒は「問題演習スタイル」「小論文スタイル」「プレゼンスタイル」から希望するスタイルを単元毎に選択して学習を進め、最終的には共通課題である小論文に取り組みます。
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1つ目の単元は「社会の在り方を問い直す-自由・自己責任論-」と題して実施しました。
共通課題
Ⅰ.現在、日本にはびこる「自己責任論」とはどのようなものか。
Ⅱ.「貧富の格差」の固定化は、人や社会にどのような影響を及ぼすのか。
題材:新型格差社会(山田昌弘)*2023年度名寄市立大学学校推薦型選抜
学習のスタイル
a.問題演習スタイル:複数の問題集を解き、解説書を作成した後、小論文形式で共通課題に取り組む。
題材:①街場の読書論(内田樹)
②教育の力(苫野一徳)
③神の亡霊(小坂井敏晶)*2020年度東京大学文科前期入試
b.小論文スタイル:複数の小論文に取り組み、添削を受けた後、小論文形式で共通課題に取り組む。
題材:①世間体の戒律(ヤマザキマリ)*2024年度札幌医科大学学校推薦型選抜
②「自由な社会」を先に進める(苫野一徳)
c.プレゼンスタイル:共通課題に関する情報を収集し、スライドを作成した後、解説動画を作成したうえで、小論文形式で共通課題に取り組む。
振り返り
単元の最後に、学習を構成する要素(①目的 ②方法 ③時間 ④内容 ⑤環境 ⑥対人関係)のうち、①②③⑤⑥を生徒自らが選択するこの学習スタイルについて、生徒に感想を尋ね、Chat GPTでまとめると以下の結果となりました。
1.自己選択の意義と効果
・自分の目的・興味に合わせて学習できたことを高く評価する声が多かった。
・進路や伸ばしたい力に応じて課題を選べたため、「やらされる勉強」ではなく「自らやる勉強」として取り組む意欲が高まった。
・授業への主体性が増し、学びの実感や成長を強く感じたという意見が多数。
・進路や伸ばしたい力に応じて課題を選べたため、「やらされる勉強」ではなく「自らやる勉強」として取り組む意欲が高まった。
・授業への主体性が増し、学びの実感や成長を強く感じたという意見が多数。
2.学習スタイルごとの実感
・問題演習型では、精読力や根拠を見つける力、思考の深まりを感じたという感想が多い。自作の解説書を通じて読解の視点が変わったという意見も。
・小論文型では、構成力や論理力の向上を実感した人が多く、添削を通して文章力の課題が明確になったとの声が多かった。
・プレゼン型では、スライドのデザインや伝え方に工夫を凝らすことの難しさ・面白さを実感した一方で、人前で話す機会の代替としての動画制作に達成感を持った人がいた。
・プレゼン型では、スライドのデザインや伝え方に工夫を凝らすことの難しさ・面白さを実感した一方で、人前で話す機会の代替としての動画制作に達成感を持った人がいた。
3.自由進度の利点と課題
・自分のペースで進められることにより、じっくり考えたり納得がいくまで取り組めたという肯定的意見がある一方、時間管理が甘かったという反省も多数。
・「自由=責任」であることを痛感し、次回に向けて自己管理力を高めたいと考えた生徒が多い。
・「自由=責任」であることを痛感し、次回に向けて自己管理力を高めたいと考えた生徒が多い。
4.他者との比較・交流の効果
・異なるスタイルの学習成果を見たり、友人と相談しながら進めたりすることで視野が広がり、刺激を受けたとの声が多かった。
・他者の優れた発表や意見に触れて、自分の課題や目標がより明確になったという振り返りも。
・他者の優れた発表や意見に触れて、自分の課題や目標がより明確になったという振り返りも。
5.今後への意欲と継続希望
・それぞれの形式で得られた成果を踏まえ、次回も同じスタイルで継続したいという声や、別のスタイルにも挑戦したいという意見が多数。
・学びの成果が模試の得点向上などに直結したという報告もあり、自己効力感を得た生徒もいた。
・学びの成果が模試の得点向上などに直結したという報告もあり、自己効力感を得た生徒もいた。
総括
生徒たちは、自己選択学習によって学習への主体性が高まり、自分にとって必要なスキルを効果的に伸ばせたと実感している。一方で、自由度の高さが自己管理力の試練ともなり、反省点や課題も自覚する声が見られた。多様なスタイルの中で互いに刺激を与え合いながら、学びを深める機会となったこの授業は、進路に直結する実践的な学習として、多くの生徒にとって有意義なものだった。
また、「自由・自己責任論」をテーマにした1つ目の単元の振り返りを行い、生徒の回答をChat GPTでまとめると以下の結果となりました。

次回の単元は「生きるということを問い直す-医療・高齢化社会-」と題して、人にとって「老いる」とはどのようなものかを考えていきます。
市立札幌藻岩高等学校国語科 對馬光揮

登録日: 2025年6月25日 /
更新日: 2025年6月30日