初めまして。私は本校校長をしております宮田佳幸と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 第12期生の保護者の皆様、本日はお忙しいところ、また、足元の悪い中、新入生保護者説明会にお越しいただき感謝申し上げます。改めまして、お子様の本校への入学、誠におめでとうございます。本校への入学という喜びがある反面、小学校の生活も残りがちょうど1ヶ月となり、6年間過ごしてきた小学校との別れに寂しさもあるかのではないかと思います。そのような中ですが、本日は、4月から6年間過ごす本校について、特に保護者の皆様に知っていただきたい点、お願いしたい点についてお話させていただきます。

 本校では、国際バカロレアIBの教育プログラムを活用して、札幌市教育委員会が推進している「課題探究的な学習」を学びの土台として教育活動を行っております。この課題探究的な学習とは、「自ら疑問や課題をもち、主体的に解決する学習」を指し、本校では、この学習を通じて、生徒自らが「自立した学習者」となるべく将来にわたる「生きる力」を身に付けることを目指しております。

 これからお子様が経験する6年間の学びは、保護者の皆様ご自身が中学校や高校で経験していない学びです。ご家庭などで、「私の時はこうだった」とか「お母さんのときはね、こうしていたのよ、だからこうしなさい」ということは大体のところは通用しません。もしかすると、本校に入学したら「難関大学に現役で合格」できると考えていらっしゃる方もおられるかもしれませんが、本校が目指しているのはそこではありません。

 私は、大学を卒業後、旭丘高校、本校の前身である開成高校で数学の教師として勤務しました。当時、大体の高校においてそうですが、大学に何人合格したということが学校の価値を決めるような風潮があり、当時の私の数学の授業も、数学の楽しさやおもしろさを語ることもなく、数学がどのように社会とつながっているのか、どの世に役に立っているのか、どのように他の教科と結びつきをもっているのかといったことも考えず、いかに定期試験で点数を取らせて成績を上げるか、模試や実際の大学受験で点数を取らせるか、受験のテクニックを授業の中で行っていました。受験が終われば、頭の中には何も残らない、そんな授業を行っていました。自戒を込めてお話すれば、そのような授業が、実際に何の役に立っていたのか。

 来週の3月1日、6期生が本校を卒業します。これで三つの学年が6年間の学びを終えることになりますが、ほとんどの生徒は大学を目指します。その大学は主体的に学問を究めるところです。中学校や高校のような手取り足取り「こうしなさい、ああしなさい」と言われることはありません。学びを進めるのは自分自身です。自分が責任をもって学ぶことが必要です。

 仕事柄、企業の方と話をする機会があります。どの企業の方からも、今は「どこの大学を出たか」ではなく、「会社で何ができるのか」とおっしゃていました。ですから、中学校・高校のときは、大学合格よりも将来につながるものをどのように身に付けるかということが大事であり、本校は、国際バカロレアIBの教育プログラムを活用して、将来にわたって学び続けるためのスキルや「学び方」を身に付けることを目指しています。

 このことを実現するために、本校では、生徒の主体性を尊重しています。お子様の前には、たくさんの扉が用意されています。それを叩くのは生徒自身です。教員が代わりに扉を開けるのではなく、親が開けるのではなく、自分自身で開けることが必要です。中には、その扉が向こうから開くのを待っている生徒もおります。でもその扉は待っていても開きません。

 卒業生を含めて、在校生は海外への留学、スーパーサイエンスハイスクールSSHの研修、各種コンテストなど、様々なことにチャレンジしています。学校の外でも、音楽やスポーツなどで自らのスキルを上げている生徒もおります。中には、自ら積極的に自分の企画を企業などに交渉していく生徒もおります。とても頼もしい生徒たちです。それらは、教員や保護者の後押しがある場合もありますが、最終的には自分で決断して自ら進んで行動しています。しかし、そのチャレンジが全てうまくいくとは限りません。失敗することもあります。

 私たちは失敗を避けようとします。失敗すると落ち込みます。しかし、世の中のものはそのほとんどが失敗の上に成り立っています。逆に言えば、失敗があったからこそ、成功があると言ってもよいと思います。あの失敗がなければ今がなかったかもしれない、という方も結構いらっしゃいます。

 親の期待もあるかもしれません。世間の目があるかもしれません。隣の家の芝生は青く見えるものです。子どもは子ども、親ではありません。他人は自分ではありません。回り道をしたとしても、最終的に豊かな人生になればよいと思います。大切なのは、その失敗をどう次に生かすかということです。うまくいくために、自分には何が足りないのかということに気づくことです。本校で、子どもたちはたくさんの失敗をし、自分に足りないものを見付けていきます。

 保護者の皆様におかれましても、お子様が失敗を次に生かし、新しい自分を見付けていけるよう、ぜひ、暖かい目を向けていただき、背中を押してあげる存在になっていただくことを願っています。

令和5年(2023年)2月22日

  校長 宮田 佳幸