二十四節気は半月ごとの季節の変化を表していますが、これをさらに五日おきに分けているのが七十二候です。この七十二候の名称は、気候の変化や動植物の様子が短い文で表され、その時期の「兆し」を伝え、繊細な季節のうつろいを感じさせてくれます。

ここ札幌はまだまだ雪が多い状態ですが、今は七十二候の一つである「草木萌動(そうもくめばえいずる)」の期間に入り、ことばの響きのとおり、やさしく照らす春の陽光のもと、新しい命が土の中や木々の枝からいっせいに芽生えはじめる三月に入りました。

そのような佳き日に、晴れて旅立ちの日を迎えられた七期生の皆さん、卒業、おめでとうございます。また、保護者の皆様には、六年間の長きにわたり、本校を支えていただき感謝申し上げますとともに、お子様が卒業のときを迎えられましたことに心からお祝いを申し上げます。

また、本日は、お忙しい中、御来賓として、PT会会長○○○○様、資友会会長○○○○様の御臨席を賜り、第七回卒業証書授与式を挙行できますことに感謝申し上げます。

さて、時は立ち止まることなく足早に過ぎ去り、六年間という歳月も終わってみれば、本当に早かったと感じているのではないでしょうか。本校で過ごした六年間のうち、その半分以上が感染症の影響を受け、本来であれば経験できたことができずに終わったことは残念になりません。しかし、制限を受けた中ではありましたが、皆さんはIBやSSHなどの様々な活動に積極的に関わり、ここに大きく成長した姿を示してくれています。

本校は「六年間の連続した学びを生かして札幌で学んだというアイデンティティをもちながら将来の札幌や日本を支え国際社会で活躍する、知・徳・体のバランスのとれた『自立した札幌人』」を育てたい生徒像として掲げ、この生徒像を踏まえ「わたし、アナタ、min-na そのすがたがうれしい」から始まる学校教育目標を定めました。そして、「生涯にわたって学び続ける力」を身に付けるため、六年間にわたって全ての教科等で「課題探究的な学習」に取り組むこととしてきたところです。

札幌市では、この「課題探究的な学習」を「自ら疑問や課題をもち、主体的に解決する学習」と定め、本校においては、IBの教育プログラムなどを活用してこれを進めてきました。

皆さんは、この「課題探究的な学習」のもと、正解のない問題にどう対応していくかを考えてきました。これは、練習問題のように机上の問題を解決するのではなく、実際に起こっている世界や日本、地域の課題をどのように解決していくか、どのように異なる考え方と折り合いをつけていくか、ということを考えるということです。

今、世界では、感染症もさることながら、解決しなければならない課題が山積しています。人々や地域の価値観は多様性を極め、気候変動や紛争などに対して、解決策を見い出すのか非常に難しくなっています。一方、日本に目を向けると、少子化の問題はすでに大きな問題となっており、労働人口の不足もさることながら、生成AIに代表される急速な技術の進展により仕事が次々と機械に置き換わっていくという問題もあります。これらを解決していくためには、俯瞰的でグロバールな視点が必要であり、それは決して世界や日本の課題を解決するだけでなく、地域の課題を解決する視点でもあります。

このような社会に出ていく皆さんには、IBやSSHで身に付けた様々なスキルをこれからの未来に対して惜しみなく発揮してほしいと思います。皆さんが社会人として活躍する未来はもうすぐやってきます。しかし、その未来は今からは予想もできないほど劇的な変化を遂げているでしょう。事実、過去の時点で未来を予測した現在は、一部では予測をはるかに上回る変化を遂げています。

どのように生きるか。今や人生百年の時代と言われています。様々なことを経験することと思いますし、うまくいかないことの方が多くあるでしょう。大切なのは、そこからどのように学ぶかということです。多くの先人たちは、たくさんの失敗から多くのことを学び生きるすべを得ました。皆さんには、失敗を恐れずに、これからも学び続けてほしいと思います。

改めまして、保護者の皆様、お子様の御卒業、誠におめでとうございます。また、六年間、お子様を支えていただき重ねて感謝申し上げますとともに、本校の教育活動に御理解と御協力、御支援をいただき本当にありがとうございました。本校に在籍していたこの六年間は多感な時期であり、お子様との関わりの中で難しいこともあったかと思いますが、どのようなときでも愛情を注いでいただき、ありがとうございました。

結びになりますが、最初にお話しした「草木萌動」、その次の七十二候は「蟄虫啓戸(すごもりむしとをひらく)」となっています。皆さんも未来へと続く次の扉を開く時を迎えました。皆さんには、身に付けた将来にわたる学び方や考え方を駆使して、これからの社会をより良いものにしていってほしいと願います。これからの社会で中心となって活躍するのは間違いなく皆さんです。本校での六年間の学びを終え、卒業する皆さんの今後の活躍を期待するとともに、実りある豊かな人生を歩むことを信じて、第七回卒業証書授与式の式辞といたします。

 

令和六年三月一日

市立札幌開成中等教育学校 校長 宮田佳幸