皆さん、おはようございます。4月1日にはまだグラウンドは一面雪で覆われていましたが、今日はすっかりと無くなりました。新しい春がやってきて、今日から令和6年度がスタートします。新しい気持ちでまたやっていきましょう。

さて、今日は数学の話から始めます。

神奈川県川崎市に藤子・F・不二雄ミュージアムがあります。ここにあるカフェで、コロナ前ですが、「バイバインで無限栗まんじゅう」というメニューがありました。1000円でほうじ茶1杯と栗まんじゅう1個が出てきます。150円でほうじ茶をお替わりすると、栗まんじゅうが2個出てきます。さらにほうじ茶をお替わりすると、すなわち3杯目は栗まんじゅうが4個出てきます。次に4杯目は8個、5杯目は16個、最高記録は次の6杯目で32個だそうです。さて、この方は栗まんじゅうを何個食べたでしょう。答えは63個です。

ユーモアのあるカフェですが、出典はドラえもんの「バイバイン」です。こんなお話です。

のび太君が1個の栗まんじゅうを前に悩んでいます。「これを食べるとおいしいけれどもなくなってしまう。食べないと無くならないけど、おいしい思いをしない」。それではと、ドラえもんはポケットから、「バイバイン」という薬を出しました。5分経つと2倍になるという薬です。そのとき、残さず食べきること、と大事な注意を1つ言い、その場を離れます。最初は喜んでいたのび太君は食べきれなくて、ジャイアンやスネ夫、しずかちゃんを呼び、食べてももらいますが、食べきれなくて、最後は家の外のごみを入れるポリバケツにいれます。しかし、それに気づいたドラえもんは大変なことをしてくれたと、それを風呂敷に包み、ロケットで宇宙へ飛ばしました。ちゃんちゃん。

漫画はここで終わりますが、さて、宇宙に行った栗まんじゅうはその後も同じように5分ごとに2倍になっていくとすると、宇宙が栗まんじゅうで埋め尽くされるのにどのくらいかかるでしょうか。

この話はある新聞記事を見たときに思い出しました。この中に佐藤さんはいますか?いますね。日本でいちばん名字が多いのは佐藤さんですが、500年後には、全員佐藤さんになるとの東北大学の吉田教授が試算したとの報道がありました。先月のことです。

吉田教授によると、現在の佐藤姓は日本全体の1.5%ですが、「このまま夫婦同姓のルールのもとで結婚を繰り返していくと、将来は佐藤姓だけになる」との問いを立て、あらゆる増減の要因を考えて佐藤姓の変化を見たとき、2022年からの1年間で0.83%増加し、2446年には50%、2531年には100%になると計算されたとのことです。

今年度もそれぞれ探究が行われますが、探究とは何か。「思考によって論証したり問題解決を図ったりすること、あるいは、論証や問題解決のために深く試行すること。そのような営みが「探究」であるといえる」と三省堂大辞林に記されています。探究するために一番大事なのは「どのように問いを立てるか」ということ。時代に併せて考えると、答えよりも問いを立てるのが大切だと考える人も増えてきました。

今や、質問すればAIが答えを導いてくれます。答えを作るのはAIがやってくれますが、何を問うかで得られる情報も異なってきます。そうであるならば、問いを立てる力が大切であることは言うまでもありません。

新学期が始まりました。皆さんは学年が一つ上がり、また「探究」や様々なことにチャレンジする日々が始まります。困難はあるかもしれませんが、これからの1年が皆さんにとって、充実した頑張った1年になることを祈っています。

そうそう、さっきの答えです。1日かからないそうです。もう一つ。ここに厚さ0.1ミリの紙があります。1回折ります。2倍になります。それをまた折ります。4倍になります。また折ります。8倍になります。3回折りましたが、これを30回繰り返すとその厚さは何と100キロを超えます。指数は常識を覆します。終わります。

 

令和6年(2024年)4月8日

校 長  宮 田 佳 幸