皆さん、こんにちは。校長の宮田です。

先週のk-スポ、お疲れ様でした。残念ながら、コロナ禍のため、学校祭から変更になった映像祭が中止になり、また、K-スポについても当初の予定よりも縮小することになってしまいました。実施に向け、皆さんが感染防止に気を付けてくれたおかげで、緊急事態宣言の中ではありましたが、無事に終了することができました。本当は不謹慎なことかもしれませんが、それぞれの種目の結果に、久しぶりに教室から皆さん歓声が聞こえてきて、うれしく思ったところです。

今、昼食の時は黙食、バスに乗れば黙乗というように、いたるところで「黙る」ということが日常的になっていますが、黙食であれば、素材の味をかみしめてみるとか、黙乗であれば、バスの窓越しに新しい発見をする、ということもあるのではないでしょうか。

様々ことが制限を受けていますが、できないことをできないで終わらせないで、この状況をチャンスに変えるということがいろいろなところで考えられています。あえて「視点を変える」ということについて、開成の学校教育目標「わたし、アナタ、min-naそのすがたがうれしい」になぞらえて、自分、相手、社会の3つについて言及してみたいと思います。

まず、一つ目の自分について。東京オリンピック・パラリンピックが終了して3週間余りたちました。多くの感動をもらった人もいるのではないでしょうか。「失ったものを数えるな。残っているものを最大限に生かせ」という言葉を聞いたことがあるかと思います。これはパラリンピックの創始者、ルートヴィヒ・グッドマン博士が唱えた基本理念です。

障がいを負った部分を気にするあまり、自信を無くしたり、投げやりになったりということがあるようですが、そうではなく、自分の強みを伸ばすことによって、健常者よりも素晴らしい人生を送っている方がたくさんいます。このことについては、あらゆる人に当てはまることです。生徒の皆さんも、自分の弱いところに目が行ってしまいがちですが、視点を変えて、強みを生かすことも大切だと思います。

次に2つ目の相手について話したいと思います。私たちはとかく自分中心で物事を考えてしまいます。とりあえず相手の考えを受け入れますが、自分の考えたことを通そうとします。

通常、一般の会社では、いろいろな他の会社と取引をしながら、会社の利益を上げていきますが、自分の会社の利益だけを上げるのではなく、他の会社も儲けるように取引をしていく会社が生き残っています。京セラやKDDIの前身である第2電電の創設者で、JALの再建を請け負った、稲盛和夫さんはこれを「利他の心」と言っており、今でいうwin-winの関係(私もあなたも勝つ)につながるものです。相手の利益も考えるというように、相手の視点に立つことの重要性が見えます。

最後に3つ目の社会について考えたいと思います。一つの実例をお話しします。ある自治体で自転車の違法駐輪に減らず、至る所に「駐輪禁止」の看板を立て罰則を強化したに関わらず、いっこうに違法駐輪はなくなりませんでした。その自治体は近隣の小学生に絵を描いてもらい、その絵を違法駐輪されているところに転写したところ、「小学生が一生懸命に描いた絵をタイヤで踏みつけるのは気が引ける」という罪悪感が生まれ、違法駐輪は一層されたということです。この話はまさにイソップ童話の「北風と太陽」での服を脱がせる方法に関する視点の変換に通じるものだと思います。

「視点を変える」ということについて3つの話をしました。この視点を変えるということは、当たり前を疑うということに通じるものです。昨年から続くコロナ禍ですが、それ以前の当たり前がなくなりました。これから先は、今までの視点が大きく変わり、新しいものが台頭してくると考えられます。そのような未来に向かう生徒の皆さんには、いろいろなものの見方ができる人になってほしいと思います。

今日で今年度の前期が終了します。コロナ禍のため、いろいろなことが制限を受け、行事などが中止や延期になりました。明日から緊急事態宣言が解除され通常の状況に戻りますが、このあとも波がやってくることが考えられます。気を緩めることなく、引き続き感染対策をしっかりと行いながら、後期についても歩みを止めることなく、それぞれの道を突き進んでほしいと願っています。

令和3年(2021年)9月30日
校 長  宮 田 佳 幸