東の方向を向いている本校の校長室の窓からはグラウンドを望むことができ、向かって左から順に、野球場、サッカー場、そして陸上のトラックとなっています。その順番は変わっていませんが、以前の開成高校とは、空の見え方が異なっています。

 久しぶりに、この地に帰ってきました。

 私は、平成9年4月から平成20年3月まで、教員として、かつてこの地にありました開成高校に勤めておりました。

 当時は、野球部の顧問として、今は校舎が建っている場所にあったグラウンドで、白球を追いかける選手たちを叱咤激励しながら、選手たちとともに、私もまさしく青春の中におりました。ライトの定位置がサッカー場の中にあり、サッカー部の選手には迷惑をかけたことを思い出します。今もレイアウトは同じなので、練習の時は同じ状況になっているのではないでしょうか。

 さて、この4月、本校に着任し、何もかもが新しくなっている中、かつて開成高校の校訓であった「山アリ 空アリ 大地アリ 永遠を知れ」が、現在の中等教育学校にも引き継がれていることに、大変うれしさを覚えたところです。

 この校訓の意味については、廣川雅之前校長の校長室の窓にも、開成高校第16代校長の岩本隆先生の文章が掲載されておりました。改めて、その一部を掲載いたします。

「山アリ 空アリ 大地アリ 永遠を知れ」という校訓は、生徒に自由な発想を期待した校訓です。初代校長坂井一郎先生は、この校訓に解釈や注釈は要らない。生徒一人一人が自由に解釈すれば良いのだと仰ったそうです。開成の自由な校風の源は実はこの校訓にあると思っています。坂井先生はそれを校歌の中に含めて代々歌い継がれるように配慮されました。校歌を通して校訓が私たちの中に生き続けています。坂井先生には教育者としての偉大さを感じます。(北海道札幌開成高等学校開校50周年記念誌『The 50th Anniversary of Sapporo Kaisei High School』 、非売品、2012 より)

 中等教育学校になり、国際バカロレアやスーパーサイエンスハイスクール、SELFなど、独自の特色を打ち出しながら教育活動を推進しておりますが、校訓に込められた諸先輩方の思いをしっかりと受け止めるとともに、札幌開成中等教育学校初代校長である相沢克明先生の新しい学校づくりに掛けた並々ならぬ思いも受け止め、しっかりと教育活動を行ってまいりたいと思います。これからどうぞよろしくお願いいたします。

令和3年(2021年)4月19日
校 長  宮 田 佳 幸