皆さん、おはようございます。

新型コロナウイルス感染症も大分落ち着いてきました。学校でのマスク着用も個人の判断に任せられるようになり、また5月8日からはインフルエンザと同じ5類に位置付けられるようになります。ただし、近くでの会話など、相手の気持ちを考えた行動をしてほしいと思います。

さて、今回はラグビーの話をします。かつて高校のときの開成にはラグビー部があり、野球部やサッカー部などとともに、外で日々練習をしていました。そんなラグビーですが、今年はフランスでワールドカップが開かれます。前回2019年に日本で開催されたワールドカップでは、日本がロシア、アイルランド、サモア、スコットランドを撃破し、準々決勝で南アフリカに敗れましたが、初のベスト8入りを果たしました。

前々回2015年に、イングランドで行われたワールドカップでは当時世界ランキング14位の日本が4位の南アフリカを破りました。当時の南アフリカは、過去2回優勝、大会前までのワールドカップでの成績は25勝4敗、一方、日本は1勝21敗2引分け、24年間勝利なし。当時は「歴史的大金星」など強豪を破る快挙というニュースが世界を駆け抜けました。世間でも「スポーツ史上最大の番狂わせ」と評せられもしました。さて、このとき、日本代表に奇跡が起きたのでしょうか。

当時、4年間、日本代表を率いていたのはヘッドコーチのエディー・ジョーンズさんです。ラグビーやエディー・ジョーンズさんについて書かれている本を読み、日本代表のワールドカップ南アフリカ戦への準備・取組を知ると、この勝利は奇跡ではなく、必然の結果であったことがわかってきます。

彼は、日本が長年勝てない理由として、日本のラグビー文化や日本人の考え方を指摘しました。「体が小さいから」「全員がプロでないから」など、試合を行う前から自分たちが負けてもよい理由を準備していると言うのです。しかし、「このような考え方では一生勝てない。できない理由よりも何ができるのかを考えるべきである」と意識改革を行ったとされています。

また、ワールドカップで勝つため、就任から4年をかけて様々なことを準備したそうです。成功は「準備が全て」という考え方のもと、相手に勝ちたいのなら、相手を上回る準備をしなければならない、と言っていました。

私たちはついついできない理由を考え、できる可能性をつぶしていることが多くあります。そして、そこそこの準備をして、やった気になっています。本当はもっとできるのに、準備不足のため、もっている力を発揮できないまま、終わってしまっています。生徒の皆さんには、そうではなく、できる可能性を探し、できると考えたなら、それに向けて、妥協のない準備をすることを望みます。

新学期が始まりました。皆さんは学年が一つ上がり、また様々なことにチャレンジする日々が始まります。困難はあるかもしれませんが、これからの1年が皆さんにとって、充実した頑張った1年になることを祈っています。

 

令和5年(2023年)4月10

  校 長   宮 田 佳 幸