札幌開成SSH"チ・カ・ホ"プロジェクト2016

日時 2016年1月7日 (木)、8日(金) 10:00~17:00

場所 札幌駅前地下歩行空間(チ・カ・ホ) 北大通交差点広場(西) 

札幌開成高等学校は、平成24年度からスーパー・サイエンス・ハイスクール(SSH)に指定されており、今年度からは、4月に開校した札幌開成等教育学校と共に、独自のカリキュラムによる授業、大学・研究機関との連携による授業、地域の特色を生かした課題研究、ドイツ、台湾、つくば、及び屋久島の海外・道外研修など、様々な取組みを積極的に行っております。本校SSHの科学研究の成果や国際交流の成果を、生徒の活動を通して、広く一般市民の皆様にお伝えするために「学びのHIROBA」プロジェクトを実施しました。当日は数多くの関係者及び市民の皆様に来場いただき、励ましのお言葉から貴重な御意見をいただくことができました。どうもありがとうございました。

 

 


平成27年度 SSH環境ウィーク開催

時期 平成27年12月14日(月)~22日(火) 

概要  『地球温暖化』についての国際的な議論がはじまったのは約20年前の1997年気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)でした。その際、採択された京都議定書では、一部の先進国のみが温室効果ガスの排出抑制目標を設定していました。近年では、この問題を解決するためには、発展著しい新興国なども排出制限が必要だという意見もあり、2015年11月30日~12月12日にフランス・パリで開催された、第21回締約国会議(COP21)では、持続可能な環境づくりに関する先進国と途上国の協力体制について議論がなされました。ようやく地球規模での議論が始まった状況です。そこで、SSHでは、この世界的な議論の高まりを受けて、さまざまな教科で多面的に環境を考えてもらおうと『環境ウィーク』を実施しました。『本当に温暖化は進んでいるのか?』、『持続可能な社会づくりに何ができるか』など、温暖化のみならず、身近な「環境」について考えて、min-naで議論する機会となりました。

実施 『環境』を共通テーマに、国語、数学、地歴、理科、英語のそれぞれの特徴を活かした内容を各2時間計10時間実施

教科

時数

講座名

国語

2

小論文環境Note 環境問題の「常識」と「本質」

数学

2

数式の活用

地歴

2

持続可能な社会を目指して

理科

2

批判的思考で地球温暖化を考える

英語

2

英語のReadingに見る環境問題

 

 


平成27年度 SSH道外研修_屋久島プロジェクト

日程 平成27年12月2日(水)~5日(土)

目的 ①水俣、屋久島における研修・体験学習を通して自然環境保全の重要性を再認識させるとともに、環境問題に関する科学的知見を一層深める。②種子島宇宙センターでの見学学習を通して科学技術に関する理解を深める。

実施内容

① 参加者 生徒4年生 10名

② 研修日程・研修先・研修内容

 【1日目】12月2日(水)

○水俣病情報センター(職員の方から情報センターの展示説明・自由見学)

1日目は、熊本県水俣市にある国立水俣病総合研究センターを訪れ、公害病について学びました。当時の被害者の生々しい証言、写真、展示を見ながら生徒は改めて公害病の恐ろしさや環境問題について深く考えることができました。

 【2日目】12月3日(木)

○JAXA種子島宇宙センター(施設見学ツアー・JAXA職員の講義・技術館見学) 

2日目は、鹿児島県種子島へと研修場所を移し、JAXA種子島宇宙センターで宇宙事業に関する取組みについて学びました。本物のロケットや発射台などを見学し、広報の方からJAXAの仕事についての講義を受けました。宇宙事業の今後やその可能性について学びました。

 【3日目】12月4日(金)

○屋久島トレッキング(屋久島の自然や生態についての研修)

3日目は、屋久島で往復10時間にも及ぶ山道を登り切り、樹齢7000年とも言われる縄文杉を見てきました。世界自然遺産の中、険しい山道を歴史と自然を学びながら歩きました。

 【4日目】12月5日(土)

  ○屋久杉自然館(学芸員の方から展示説明・「自然との共生」についての講演)  

最終日は、屋久杉自然館で屋久杉の歴史を学び、観光課の方から屋久島の自然や抱えている問題について講義を受けました。

成果

事前研修により生徒の研修に対する意識が非常に高まり、現地での研修に対する生徒の評価は極めて高かったです。また、事前アンケートでは種子島や屋久島での研修と比べると、生徒の公害病に対する知識や意識はあまり高くなかったですが、現地研修後は他の研修と同様に評価が高かったです。事前研修と現地研修とのつながりを意識した取組みが重要であることがわかりました。 

 

 


平成27年度 SSH道外研修_つくばプロジェクト

日程 平成27年8月5日(水)~8日(土)

目的 ①  北海道にはない大規模な科学館、研究学園都市「筑波」の研究施設、及び大手民間企業の総合研究所を訪問し、最先端の研究の現場を実際に体験し、研究者と触れあうことで科学や科学技術に関する興味・関心を深める。②  全国のSSH指定校が集まる研究発表会を傍聴し、本校のSSHの取組への意欲をさらに喚起する。

実施内容

① 参加者 生徒4年生16名

② 研修日程・研修先・研修内容

 【1日目】8月5日(水)

○理化学研究所計算科学研究機構(スーパーコンピュータ”京”見学、講義)

○SSH生徒研究発表会インテックス大阪(ポスター発表聴講)

1日目は、あのスーパーコンピュータ京についての研修をしました。スーパーコンピュータによるシミュレーションは、災害や医療などの様々な分野で利用されていることが分かりました。その後SSHの全国生徒発表会のポスターセッションに参加しました。各校独特なテーマに対して、いろいろな角度から課題研究に取り組んでいることを知り、刺激になりました。

 【2日目】8月6日(木)

○国土地理院地図と測量の科学館(測量の歴史、現在の地図に関する講義)

○国立科学博物館筑波実験植物園(植物園紹介・説明を含む園内植物観察)

○産業技術総合研究所サイエンススクエア(最先端の科学技術紹介、見学)

○産業技術総合研究所地質標本館(地質や化石に関する紹介、見学)

○JAXA筑波宇宙センター(宇宙ステーションコース参加)

2日目は、このプロジェクトのタイトルにもなっている研究学園都市つくばの研究所の研修三昧でした。それぞれの分野における日本の最先端技術に触れ、将来は科学者をめざすようになった人もいたようです。

 

 【3日目】8月7日(金)

○日立中央研究所(研究事業の説明、若手研究員とのディスカッション)

○東京大学 長谷川研究室(長谷川 修司先生の講義、実験施設見学)

○国立科学博物館(展示見学)

3日目の午前は日立の中央研究所で企業が行う世界トップレベルの研究に触れました。午後は東京大学で自作の電子顕微鏡を用いた最先端の研究に触れました。内容は非常に高度でしたが、解説がわかりやすかったので、要点は理解できていたようです。

 

 【4日目】8月8日(土

○日本科学未来館(展示見学)

研修最終日は、お台場にある日本科学未来館での研修でした。館の名前の通り現在実用化されている研究は勿論ですが、将来実用化に向けて研究中の最先端の研究を知ることができました。

 

成果

事後に行ったアンケート結果を分析してみますと、研究施設の雰囲気や研究者に直に触れることによって、研究職を志すようになった生徒もいたようです。猛暑の中で実施したので、全体的な満足度は、低くなると予想していましたが、実際には例年に比べ高かったです。

 


平成27年度 SSH道内研修_4年次学校設定科目『プレ先端科学特論』

科目の目

フィールドワークや、大学や研究機関の研究者による講演等を通して、環境問題や先端科学技術に興味・関心をもち、次年度の課題研究の基礎となる教養を身につける。

実施内容(本年度受講者数87名)A,B日程に分けて実施した。

この科目は以下の3つのプログラムからなっています。

(1)環境現地学習

(2)北海道医療大学実習

(3)千歳科学技術大学実習 

(1)プレ先端科学特論(環境科学現地学習)

A日程 平成27年7月29日(水)~30日(木) B日程 平成27年7月30日(木)~31日(金) 

 【1日目】

①株式会社アレフ北海道工場

体験学習(バイオエネルギー施設)、講

びっくりドンキーを全国展開するアレフの北海道工場では、製品製造の際に生じる廃棄物をエネルギーに変える大規模なシステムを備えていて、BDF(バイオディーゼル燃料)やバイオマスガスを生産していました。

②黒松内町ブナセンター

歌才ブナ林散策(原生林と二次林・人工林比較)

歌才ブナ林の最大の特徴は人間の居住地に近いのにもかかわらず、ほぼ手が加えられていない原生林の状態で発見され、保護されていることです。太平洋戦争末期と昭和30年代に2度の伐採の危機を町民の手で守ってきたという歴史から黒松内町のシンボルとなっています。

研修では木の間隔の違いから、原生林と二次林・人工林を見分けられることを学びました。

③せたな町あわび山荘

生物資源活用についての講義 北海道教育大学函館校 准教授 松浦俊彦 氏

函館といえばイカが有名ですが、イカスミはパスタや一部の食品に使われる以外廃棄されるのが現状です。しかし、松浦先生のグループは、電子顕微鏡を用いて、このイカスミの分子構造を明らかにしただけではなく、様々な分野で有効活用できないかと日々研究を行っています。将来医療の分野に応用され私たちの身近なところで使われる日も遠くないかも。

④自然再生エネルギーついてのディスカッション

1日の振り返り

アレフで見学したバイオエネルギーの可能性や黒松内で見学した原生林の貴重さ及び大学が行っている生物資源活用研究の先進性に触れ、たくさんの刺激を受けた経験を下に、自然再生エネルギーについてのディスカッションを行いました。再生が可能そうな廃棄物が多く挙げられ、その活用方法に対するアイディアもいくつか発表されました。非常に中身の濃いディスカッションになりました。また、2日目のプログラムの自然再生エネルギー(風力発電、太陽光発電)に関する研修の事前学習にもなったようです。 

 【2日目】

⑤瀬棚港

講義(風力発電について)・漁船に乗って洋上風車見学

せたな町の方から町をあげて取り組んでいる風力発電についての講義を受け、瀬棚港へ向かいました。そこから慣れない漁船に乗り込み洋上風車『風海鳥』めがけて出港。5分ほどで風海鳥に到着しました。近くから眺めるとブレードの長さに圧倒されました。回転音はブレードの長さの割には静かでした。

⑥北海道電力伊達発電所

講義(太陽光発電・火力発電について)、ソーラーパネル・火力発電所見学

伊達発電所では大規模なソーラーパネルを使っての太陽光発電や化石燃料の火力を利用した火力発電に取り組んでいます。それぞれの特性を活かして効率の良い電力供給を行っているようです。

環境科学現地学習の成果

自然体験やエネルギー・資源の活用に関する講義を通して、自然とエネルギーの関わりの深さを実感できた。さらに、グループ内、及びグループ間でのディスカッションを行うことによって、エネルギー問題をより身近に感じることができたようであった。

 

(2)プレ先端科学特論(北海道医療大学) 

A日程 平成27年8月11日(火)~12日(水) B日程 平成28年1月6日(水)~7日(木) 

 【1日目】                

①特別講演 「研究活動の不正行為防止と研究者倫理について」

    北海道医療大学 学長 教授 新川 詔夫 氏

②講義 「家系図を書いてみよう」

  岩手医科大学 臨床遺伝科 准教授  徳富 智明 氏

③講 義 「DNA基礎知識・実験概要説明」 

   北海道医療大学 個体差健康科学研究所 教授 太田 亨 氏

④実 験  

   口腔粘膜から細胞採取・DNA抽出・PCR反応

 【2日目】

⑤実 験

制限酵素反応・アガロース電気泳動・遺伝子型判定、玉ねぎのDNA抽出

 北海道医療大学での実験・講義の成果

北海道医療大学では、遺伝子に関わる講義や実験を行いました。遺伝子はとても小さな分子だと思っていましたが、タマネギのDNA抽出実験の結果から、それらが集まると目視することができることが分かりました。また、頬の粘膜から抽出したDNAから、自分の耳垢のタイプを知ることができました。遺伝子は、難しいイメージがありましたが、とてもわかりやすく解説してくださったので、生物学に興味を持てた生徒が多かったようです。

(3)プレ先端科学特論(千歳科学技術大学)

A日程 平成27年10月3日(土) ●B日程 平成27年10月4日(日)

 【テーマ1

①講義「光の波動性を探る」

②実験 レーザー光の波長測定

    千歳科学技術大学 教授 長谷川 誠 氏

 【テーマ2】

①講義「光化学反応」

②実験 UVを利用した光化学反応

    千歳科学技術大学 教授 Olaf  Karthaus 氏

             講師 平井 悠司 氏

大学での実験・講義の成果

千歳科学技術大学では、光科学について学習しました。光が波であることから、干渉を利用してレーザー光の波長を測定できることや、光よって起こる化学反応があることを学びました。大学の先生方は勿論ですが、大学生や大学院生の方々がわかりやすくアシストしてくださったので、難しそうな実験も失敗せずに行うことができました。