課題探究的な学習に向き合う環境 ~IBプログラムの活用~

(1) 大人のすがた
本校の学校教育目標では、「大人のすがた」として、「6年間を通した学びの連続性を生かして、課題探究的な学習に向き合う環境を整えます。」と定めています。本校教職員とともに、生徒自身が課題探究的な学習に向き合うことができるよう保護者の立場から支えていただければと思います。
具体的には、「IBの使命」や「IBの学習者像」の理念を理解した上で、最終的な生徒(子ども)の自立を意識しながらも、特に入学して間もない時期には、各教科の課題の取組状況や提出状況など生徒(子ども)の学習状況を把握していただき、教員とともに適宜サポートしていくことが大切だと考えています。そのために本校では、各教科の課題の提出期限などを生徒自身で記録できるスケジュールプランナーを活用しています。

(2) 課題探究的な学習
本校の新入生の教育プログラムでは、すべての教科の授業において、自分で課題を見付け、自分で考えて課題の解決に向けて取り組んでいく力を身に付けるため、「課題探究的な学習」を取り入れることとしています。
具体的には、IBの教育プログラムに基づく「探究型概念学習」を通して実践されます。「探究型概念学習」は、実験・観察・調査、対話・討論・発表、体験・実習・見学といった様々な探究をする中で、生涯にわたって学び続けるために必要な概念を身に付けていくもので、先生から教えられたことをノートに整理して知識を整理し、テストを通して定着度を見る学習とは全く異なる学習方法です。

(3) 少人数指導と100分連続の授業
より効果的に「課題探究的な学習」を進めるためには、ある程度少人数の学習集団で授業を行う必要があります。そこで本校では、IBの推奨する学習集団の程度も考慮に入れて、2クラス80人を3つの学習集団(26~27人)に分ける少人数指導により授業を行うこととしています。
また同様の観点から、ある程度まとまった時間を確保し、じっくりと実験・観察・調査、対話・討論・発表、体験・実習・見学などに向き合う必要もあります。そこで本校では、各教科の授業を100分連続(1セッション)で設定しています。

(4) 試験と評価
「課題探究的な学習」の評価は、獲得した知識量や理解度を定期的に試験で測る通常の方法だけで行うことはできません。そこで本校では、いわゆる定期試験を実施せず、単元ごとにIBの評価方法に基づいた課題を設定し、評価を行うこととしています。そのため、評価の対象となる課題(評価課題)は、年間を通して各教科から示されることになります。

(5) 家庭学習
MYPの各教科では、単元ごとに、到達度を評価するための様々な課題や評価規準などを記した「課題説明書」が事前に生徒へ示されます。生徒は「課題説明書」に従いながら自ら計画的に学習することが求められるため、学習する時間を確実に確保することが大切です。
例えば、評価の対象となる課題には知識や理解度を測るための試験以外に、レポート、発表、プレゼンテーションなどがあります。これらの課題は、定められた期日までに確実に取り組まなくてはなりません。具体的には、あらかじめ示されたテキスト(本など)を読んだり、インターネット等で調べたりするなどして、必要な情報を得たり、自分の考えをまとめておいたりすることがあります。
家庭学習は自宅で行うことが原則ですが、放課後の時間帯にメディアセンターを利用したり、教科センターなどで各教科の先生からアドバイスを受けたり、ラウンジ等で自学自習を行ったりすることも可能です。本校は、できるだけこうした学習を学校内でも行えるよう環境整備に努めていくこととしています。
このように、家庭学習は「課題探究的な学習」をより効果的なものにするためには必要不可欠なものです。

(6) 授業で使用する教材
「課題探究的な学習」では、教科書の内容を最初から順番に教えていくという授業スタイルにはなりません。教科書はより効果的な「探究」を行うための最も基本的な主たる教材でありますが、唯一の教材ではありません。授業担当者から配付されるプリントや本、インターネットから入手できる資料なども重要な補助教材となります。
その他、教科によっては、補助教材を指定し全員に購入してもらう場合もありますが、知識の定着度や理解度を測ることに特化したドリル形式の問題集等を、補助教材として指定することはありません。

(7) 情報リテラシー
「課題探究的な学習」においては、本やインターネットなどを通して取得した様々な情報を扱うことになります。
特に、インターネットの情報を扱うことに際しては、タブレット端末を活用することが非常に有効になります。そのため本校では、校内でインターネットに接続することが可能なタブレット端末を、生徒1人につき1台購入してもらっています。
タブレット端末の活用に際しては、その効果を最大限発揮するための活用スキルと自分や他人の安全を確保するための情報モラルの両方を同時に身に付けていく必要があります。そのため本校では、1年で「情報スキル」を開設し、「課題探究的な学習」を行うにあたり、まず必要となるスキルとして、発達段階に応じた情報リテラシーを身に付けるための学習時間を確保することとしています。

 2020年4月