平成28年4月8日、第2回入学式を行い、2期生にあたる4年生161名、5期生にあたる1年生160名が本校の仲間入りを果たし、全校生徒が640名となりました。開校2年目の平成28年度が順調にスタートし、10日間が過ぎました。校舎は、生徒たちの元気な声で満ち溢れています。以下に、第2回入学式での式辞を掲載いたします。
 式辞
 四年生、一年生の皆さん、入学おめでとうございます。只今の意思表明、その表情や声の大きさなど、みんなそれぞれに素敵な個性が感じられました。そんな個性豊かな皆さんが本校の一員となってくれること、とてもうれしく思います。皆さんを心から歓迎します。
本日のこの佳き日にたくさんのご来賓の方が祝福に駆け付けてくださいました。本日はご多忙な中、御臨席を賜り、ありがとうございます。心より感謝申し上げます。
 さて、四年生、一年生の皆さん。いよいよ待ちに待った新しい学校生活が始まります。本校は、皆さんご存知のように、札幌開成高等学校の50有余年の歴史と伝統を引き継ぎ、昨年4月に開校した札幌市内初の公立中等教育学校です。本日、晴れて入学した皆さんは、長い開成の歴史から数えますと、記念すべき55回目の入学生となります。
 本校は開校2年目の若い学校ですが、開成高校のOBの皆さんをはじめ、開成高校にゆかりのある多くの皆さんは、本校のことも開成高校同様に母校として大切に思い、本校の発展を心から応援してくれています。
皆さん、すでに目にしていることと思いますが、本校の中心である大階段のところには、天井画「ドーム…永遠を知れ」とモザイク壁画「我等あり」が飾られています。この素晴らしい二つのモニュメントは、それぞれ、開成高校OBの佐々木裕而さんと工藤晴也さんが、開成への思いを込めて製作してくれたものです。新校舎の建築を機に、開成高校同窓会の玉成会をはじめとした、開成高校にゆかりのある皆様からご寄贈いただきました。おかげさまで、日々本物の芸術に触れながら自分自身を振り返ることができる最高の環境となりました。関係の皆様には、改めて感謝申し上げます。
 皆さんの前には、このように開成に対して熱い思いを持ちながら、伝統を紡いできた多くのOBの方がいらっしゃいます。この熱い思いの下となっているものが、開成高校初代校長の坂井一郎先生が起草された校訓「山アリ、空アリ、大地アリ、永遠を知れ」です。この言葉は、詩人谷川俊太郎さんの作詞による校歌の一節にも取り入れられ、歴代開成高校生の中で長く歌い継がれてきました。
本校もこの言葉を校訓として引き継いでいます。
皆さん、目を閉じてみてください。「山アリ、空アリ、大地アリ、永遠を知れ」-今、皆さんの目の前にはどんな風景が広がり、心の中にはどんな思いが浮かんできていますか。今心に広がった思いが、みなさん一人ひとりにとっての開成のすがたです。是非、この思いを大切にしてください。
さあ、それでは目を開けてください。自分一人の世界からたくさんの人たちがいる世界に戻ってきました。目の前には、自分とは違うたくさんの人がいることに改めて気付くかと思います。隣の人は、いったい、どんな開成のすがたを思い浮かべていたのでしょうか。少し、聞いてみたい気がしませんか。試しに聞いてみると、まったく同じというのはかなり稀なことで、おそらく、大なり小なり違いがあることと思います。校訓の制定当時、坂井一郎先生は、「この校訓に解釈や注釈はいらない」とおっしゃったそうです。321人がいたら、321通りの解釈があっていいし、そのいずれもが正解だということです。まさに、これが開成です。
 本校では、この開成を引き継ぎつつ、学校教育目標「わたし、アナタ、min-na そのすがたがうれしい」を定めました。わたしの隣にいるアナタは、きっと、わたしとは違うはずです。この違いが個性であり、お互いの個性を尊重することこそが大切です。もし、個性がなくなってしまったら、わたしとアナタは取り換え可能なものとなってしまいます。そうなれば、わたしが存在する意味はなくなってしまいます。アナタと違う個性があるからこそ、わたしがわたしである意味があります。
社会は、そんな個性あふれる一人ひとりのわたしとアナタが集まったmin-naで構成されています。わたしがかけがえのないわたしでいられるのは、アナタ、そしてmin-naが、わたしと違う個性を持った、そのままのアナタやmin-naでいてくれるおかげなのです。そう考えてみると、隣にいるアナタ、わたし以外のmin-naのすがたが掛け値なしにうれしく思えてきませんか。世界中に、こんな思いを持ったわたしが溢れるようになれば、世の中は平和になり、min-naが幸せに生きていくことができると思います。本校で学ぶ皆さんには、是非とも、このような平和な社会の実現に貢献する人になってほしいと願っています。
学校も社会の一つです。まずは、私たちと一緒に、日々「わたし、アナタ、min-na そのすがたがうれしい」が実現している学校を作り上げていきましょう。そのために、生徒のみなさんには、次の三つのことを大切に学校生活を送ってほしいと考えています。一つ目は「自ら課題を発見し、生涯にわたって学び続ける力」、二つ目は「自己を肯定し、多様な価値観を認め合う心の余裕」、そして三つ目は「未知なるものに挑戦し、自ら道を切り拓く勇気」です。是非とも、幅広い年齢の生徒がともに学びあうという、本校の特徴を最大限に生かし、興味あることに積極的に取り組みながら、この三つの力を育てていってください。
保護者の皆さん、本日は、お子様のご入学、本当におめでとうございます。本校は開校2年目の若い学校です。私たち教職員は、保護者の皆さんと手を携えて、子どもたちがこの三つの力を安心して育て上げることができる、そんな新しい学校を作っていきたいと考えています。是非とも、私たち教職員とともに、その環境の整備に取り組んでいきましょう。
 終わりになりますが、本校の教育を進めていくためには、本日ご臨席を賜りました皆様のご支援、ご協力が不可欠であります。今後とも、本校に対するご理解のほどをどうぞよろしくお願いいたします。皆様のお力を借りながら、夢をもって、一歩一歩着実に新たな学校づくりに取り組むことを決意し、式辞とさせていただきます。
                  平成二十八年四月八日
                           市立札幌開成中等教育学校 校長 相沢克明