10月5日水曜日、1,2時間目は、全校生徒を対象に「パラリンピックの最前線」と題して、荒井秀樹氏を講師に迎え、特別講演会を開催しました。荒井さんは、長野パラリンピックの開催に先立ち、障がい者スキーの組織化、選手強化、指導、育成にゼロから取り組み、長野、ソルトレーク、トリノ、バンクーバー、ソチのパラリンピックにて5大会連続でメダリストを輩出している名監督です。現在は、パラノルディックスキーチーム日本代表監督として、選手の指導・育成を行うとともに、株式会社日立ソリューションズのスキー部監督、車いす陸上競技部監督も務め、障がい者スポーツ指導者の第一人者として競技力向上に取り組んでいます。
今回の特別講演は、平成29年3月に札幌市では初となる障がい者スキーのワールドカップ国際大会が開催されることから、札幌市スポーツ局の支援により実現しました。ワールドカップ札幌大会は、3月18日から22日に、西岡バイアスロン競技場を会場として、世界10か国から約100名の選手・役員を迎え、クロスカントリースキー競技とバイアスロン競技が実施される予定となっています。
荒井さんは、パラクロスカントリーやバイアスロンの実際の競技の様子やアスリートの日々の練習風景の映像を交えながら、とても親しみやすい語り口で、競技の特徴や選手が競技に取り組むようになったきっかけなどについて話をしてくれました。生徒たちは、荒井さんの話を食い入るように聞いていました。表題の「失ったものを数えるな、残されたものを最大限活かせ」は、荒井さんが好きな言葉として紹介してくれました。パラリンピックの父と言われているルードヴィヒ・グットマン博士が、戦争で傷つき障がいを負った帰還兵たちに語った言葉だそうです。この精神が原点となって、障がい者スポーツの種目が少しずつ増えていったとのことでした。
また、各学年の代表生徒が、実際に、視覚障がい者のバイアスロン競技で使用するレーザー銃の試し打ち体験もしました。銃口の先が的の真ん中に近づくほど音の周波数が高くなる仕掛けとなっており、生徒たちは、その音の変化を頼りに引き金を引きました。初挑戦にも関わらす、二人の生徒と一人の先生が見事、的に命中させ、会場は大いに盛り上がりました。
講演終了後の質疑応答では、何人もの生徒から手が上がりました。その一つ、「障がいのある方と初めて会うときにどのように接するのですか」との質問に対して、「例えば、視覚障がいの方と会った時は、僕がどのように見えていますか」と話しかけますとの返答が印象的でした。一人ひとりの障がいの状態は決して同じではないため、勝手に想像するのではなく、相手に近寄り、しっかりと話を聞いて理解しようとすることが大切とのことでした。
最後に、荒井さんから、今回の講演を機に、障がい者スポーツを身近に感じていただき、是非とも、3月のワールドカップでは、実際に会場へ足を運び、各国のアスリートに温かい声援を送ってくださいとの呼びかけがありました。学校としても、今回の講演を単発の取組で終わらせるのではなく、全校生徒で応援に行くことなどを含め、継続した取組となるよう前向きに検討していきます。