旭丘高校は一九五八年(昭和三十三年)、普通科高校の開設を求める多くの市民の方々の運動が実って開校しました。以来、札幌市立高校の中で、最も古い全日制普通科高校として、アカデミックな気風のもと、一万八千人を越える優秀な卒業生を送り出し、市民の大きな期待に応えてきました。その後、創立四〇周年を機に「道しるべ この坂越えん」を制定しましたが、教職員・生徒がより高みを目指すための大事な言葉になりました。さらに、「二十一世紀進学アドバンス構想」により、二〇〇四年(平成一六年)に道内の全日制普通科公立高校では最初の単位制高校となり、大学や社会に通じる高い教養や資質を育成し続けてきたのです。旭丘高校は、市民に支えられながら、たえず未来を見据えて、新たなことに挑戦し続けている学校であり、その中で自覚と責任とに裏打ちされた自主・自立の精神がしっかりと受け継がれてきたことも、忘れてはいけないことです。皆さんが、そういう旭丘高校に仲間入りし、一緒に新たな挑戦を続けられることに、私は、大きな期待を感じています。私たちと一緒に、それぞれの持てる力を発揮して、次の旭丘高校をさらに元気にしていきましょう。

 

みなさんに、本校での高校生活を始めるにあたって、心にとめてほしいことを三つお話しします。

一つ目は「目標を持ち、自らの可能性に挑戦してほしい」ということです。

先ほども触れた、本校の「この坂越えん」という道しるべは、高い目標に向かって、困難をも果敢に乗り越えてほしいという願いが込められた言葉です。これからの三年間、目標を持って、自らを鍛えていって欲しいと思います。

 

二つ目は「大いに学んでほしい」ということです。

情報化・グローバル化の中で、社会のありようが急速に変化している今日、生涯にわたって様々なことを学び、吸収していくことはこれからの世界を生きる皆さんにとって欠かすことのできない資質です。

高校時代を通じ、ぜひ、多くを学び、自分の世界を広げていってください。そしてそのために、学び方を身に付けていってください。

 

三つ目は、「いろいろな人と出会い、豊かな関係を結んでほしい」ということです。

学校生活では、多くの人とともに生活し、各自が責任を分担していきます。まさに社会の縮図です。「いじめを許さない強さ。」「人の気持ちに寄り添うことのできる優しさ。」「人と人とをつないで、物事を進めていく面白さ。」これらを、高校生活のさまざまな体験をとおして感じ、自分のものにしてください。

そして皆さんは、一人一人が唯一無二のかけがえのない存在です。高校時代の様々な経験の中で、自分自身を信頼し、同時に仲間への思いやりや寛容、自分を開きともに切磋琢磨する喜びを知り、成長していってほしいと願っています。

 

 江戸幕末の長州藩に、吉田松陰という人物がいました。明治維新の精神的指導者として知られ、二十九歳という若さで刑死しますが、彼の私塾「松下村塾」で学んだ、高杉晋作、桂小五郎、伊藤博文(ひろぶみ)など多くの俊才により明治維新が実現されていったことはよく知られています。

彼の残した言葉に「志定まれば、盛んなり」という言葉があります。志とは、心に決めた目標に向かって進もうとする気持ち、決心のことです。目標への気持ちが志としてはっきりすれば、おのずとやる気や意欲が生まれるということです。松陰はまた、志を持つということは、目標に対してなぜその目標を定めるのか、その目標を達成する意味は何かということを自分でしっかり考えることが大切だとも言っています。旭丘高校での学びによって、皆さんは視野を広げ、考え方を深めていくことと思います。自らが、未来に向けてどう生きるのか、志をはぐくみながら努力する、三年間であってほしいと思います。

 

保護者の皆様にお願い申し上げます。お子様をはぐくみ成長を支援していくためには、ご家庭と学校が密に連携し、協力することが何より大切です。どうか、学校の教育方針にご理解を賜り、お子様が、成長し、自立していく過程を、温かく見守り、励ましの言葉をかけていただきたいと思います。学校もご家庭や地域の皆様のご理解が賜れるよう、開かれた学校づくりをなお一層推進して参りたいと思います。宜しく、ご協力とご支援を賜りますようお願い申し上げます。

 

最後になりますが、本日、晴れて入学式を迎えられました、「旭丘高校61期生」の皆さんが、これから実り多き高校生活を送り、逞しく成長し、社会へと巣立っていかれることを心より祈念し、式辞といたします。

 

平成30年4月 市立札幌旭丘高等学校長  林 恵子